Moi! こんにちは、元高校英語科教員でフィンランド在住のMisakiです!「世界の教室から日本の教育をアップデートする」ことをミッションに活動しています。
日本で大きな問題になっている若年層の政治意識の低さ。「どうせ自分が何をしても変わらない」こんな思いを持っている若者がいるかもしれません。
今回は、日本の若者の投票率の低さの裏にある、もっと深い問題、そしてその解決の鍵となる「自己効力感」について、フィンランドの教育現場で見た光景を交えながらお話ししたいと思います。
なぜ、私たちの声は届かないと感じてしまうのか?
まず、衝撃的なデータから見ていきましょう。
日本の20代の投票率は、2024年の統計で34.62%。つまり、3人に1人しか選挙に行っていないのが現状です。

この数字だけを見ると「若者の政治離れだ」と片付けられてしまいがちですが、私はこれは「当然の結果」ではないかと感じています。なぜなら、問題の根っこは「無関心」ではなく、「自分の声が社会に影響を与える」という実感の欠如にあるからです。
こども家庭庁が2024年に発表した調査結果が、それを裏付けています。
「自分の参加により、社会問題は変えられると思うか」という問いに対し、「そう思う」と答えた日本の若者は、わずか36%でした。

これは比較された5カ国の中で圧倒的に低い数字です。裏を返せば、日本の若者の約3分の2が「自分が動いても、どうせ社会は変わらない」という無力感を抱いているのです。
この「どうせ変わらない」という感覚は、一体どこから生まれてくるのでしょうか。そのヒントは、私たちが多くの時間を過ごす「学校」にあるのかもしれません。
「自分の声で社会が変わる」フィンランドの学校で見た驚きの光景
私が今いるフィンランドの教育現場では、子どもたちが「自分の声には力がある」と実感できる機会が、日常に散りばめられていました。
事例1:生徒の声で校則が変わる!職員会議に参加する子どもたち
私が訪れた小中学校(コンプリヘンシブ・スクール)では、生徒会の代表がなんと職員会議に参加!

そこで彼らが提起した議題の一つが「休み時間の過ごし方」について。
その学校には「休み時間は外で過ごし、新鮮な空気を吸うこと」というルールがありました。しかし、生徒たちからは「寒い日や気分が乗らない日は、室内で静かに過ごしたい」という声が上がっていました。
この意見は職員会議で真剣に議論され、私が見学した日、「ルールが変更され、室内で過ごす選択肢も認められた」という結果が、クラスで報告されていました。
自分たちの声が、学校というコミュニティのルールを実際に変えた。この「小さな成功体験」が、彼らの自己効力感を育んでいるのは間違いありません。
事例2:学校が政治討論のステージに!生徒主催のイベント
高校で見たのは、さらにダイナミックな光景でした。
選挙シーズンが近づくと、生徒たちが主体となって、なんと各政党の代表者を学校に招待し、公開討論会イベントを開催したのです。

「政治家の声を、自分たちのフィールドで直接聞きたい」
「私たちの声を、直接届けたい」
そんな思いから企画されたこのイベントは、ライブストリーミングで配信までされていました。大人に用意されたステージに乗るのではなく、自分たちで対話の場を創り出す。そして、それに応じる大人(政治家や教師)がいる。この信頼関係こそが、社会への参加意欲を育む土壌となっているのではないでしょうか?
自己効力感を育む鍵は「聞く姿勢」と「小さな成功体験」
自己効力感(Self-efficacy)とは、心理学者のアルバート・バンデューラが提唱した概念で、「自分がある状況において、目標達成のために必要な行動をうまく遂行できる」と、自分の可能性を信じる力のことです。
バンデューラは、自己効力感を高めるための4つの主要な要素を提唱しています。
1. 直接的達成経験(Enactive attainment):
過去の成功体験は、自己効力感を高める最も強力な源泉となります。
2. 代理経験(Vicarious experience):
他者の成功を観察することで、自分にも達成できるという信念を抱くことができます。
3. 言語的説得(Verbal persuasion):
他者からの励ましや肯定的な言葉は、自己効力感を高めるのに役立ちます。
4. 生理的情動的喚起(Physiological and emotional states):
良好な心身状態は、自己効力感を高めるのに役立ちます。例えば、ストレスが少なく、リラックスしている状態は、自己効力感を高めるのに効果的です。
フィンランドの事例は、この自己効力感を育むための重要なヒントを教えてくれます。
- 大人が本気で「聞く姿勢」を持ち、安心できる発信できる環境を作ること
- 励ましを与え、子どもの声や行動が、実際に何かを「変える」体験をさせること
学校のルール、クラスの係決め、行事の企画。どんなに小さなことでもいい。子どもたちの内なる声に耳を傾け、彼らの選択を尊重・支援し、その結果に責任を持たせる。この繰り返しが、「自分の行動は、未来に影響を与えるんだ」という確信に繋がっていくのではないでしょうか。
「あなたの声には価値がある」 諦めを希望に
日本の若者の投票率の低さは、彼ら個人の問題ではなく、私たちが暮らす社会や教育が「あなたの声には価値がある」というメッセージを伝えきれてこなかった結果なのかもしれません。
「どうせ変わらない」という諦めを、「自分の力で変えられるかもしれない」という希望に変えていくこと。
家庭で、学校で、地域で。子どもたちの「こうしたい」「こう思う」という声に真摯に向き合い、小さな成功体験を積み重ねていける環境を作ること。それこそが、彼らが未来の社会を担う当事者であるという自覚を育み、ひいては投票所に足を運ぶ、という行動に繋がっていくのだと、私は信じています。
あなたはどう思いますか?ぜひ、あなたの意見も聞かせてください。
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