子どもも大人も声を上げられる社会 ― 市民教育を考える

日本で6年間英語教員として勤務されたみきさんに、フィンランド教育視察にご参加いただきました。トップダウン型教育への違和感を抱きつつ、ボトムアップ型の市民教育に注目して参加された視察では、学校だけでなくユースセンターや青年議会など幅広い学びの場を体験。子どもや市民が声を上げ、学ぶ権利が平等に保障される社会の仕組みを目の当たりにし、「福祉国家」から「信頼国家」へとフィンランドのイメージをアップデートしたそうです。


現地での体験を通じて得た学びと気づきをインタビュー形式でお届けします。

みきさん、こんにちは!今回の教育視察ツアーに参加した理由を教えてください。

フィンランドの教育や社会に興味をもっており、自分の目で感じて、自分自身の経験や枠をアップデートしたかったからです。

教育への「?(疑問)」はなんでしたか?

日本育ちの生徒としての経験や教員になってからの自分の視点から、常にトップダウンな日本の教育に違和感を感じていました。もちろんそこには、集団の中で生きていく術や周囲との輪を尊重したり何事にも勤勉に取り組んだりする姿勢を育むには必要だと感じたところもあります。しかし、世の中がグローバル化し持続可能な社会や教育が求められる今の時代には、自分から声をあげる力や年齢や立場、性別に関わらず一人ひとりの声を拾っていく社会作り(教育)がより一層必要になってくるのではないかと感じていました。特に日本とフィンランドの場合、人口規模や文化が大きく異なることから、単に比較し、すべてを一気に変えることは不可能かもしれないけど、お互いが新たな価値に気づく機会にはなるのではないかと期待していました。そのような背景から、シティズンシップ教育(市民教育)に注目して視察に参加させていただきました。

教員として働かれたからこそ感じた違和感を持たれていたんですね。今回の視察で体感した「!(発見)」はありますか?

今回の視察を通して、特に印象に残ったのは大きく分けて二つあります。まず一つ目は、ボトムアップ型の社会を作るために、社会全体でいろいろ工夫されていることですね。学校だけじゃなく、青年議会やユースセンター、国会議事堂でのお話の中にも、その工夫がたくさん見られました。特に驚いたのが、将来政治家やリーダーを目指す中学生が、実際に市民から選ばれて、市長に直接意見を届けられる仕組みがあることです。日本だと、学校やグループの中では意見を言えても、その枠を超えて市民や大人に直接声を届けるのはなかなか難しいですよね。それから、小学校でも年に数回みんなで集まって話し合いながら、自分たちのルールを自分たちで決めているんです。そういう場でも、一人ひとりが声をあげたり、ちゃんと話し合ったりする機会を大切にしているんだなと感じました。
二つ目に感動したのは、学びの機会が平等に与えられていることです。家庭の収入や背景に関係なく、子どもたちがいろんな経験をしやすい環境が整っているんですよね。特にユースセンターがその良い例で、放課後の子どもたちの居場所になっています。ヘルシンキ市の出資で運営されていて、子どもたちはいつでも気軽に立ち寄れる。楽器をたたいたり、ダンスをしたり、映画を見たり、宿題をしたり、大人と話したり…いろんなことができるんです。こういう場に救われている子どもたちがたくさんいるんだなと思いました。お金のかかる習い事で経験に差が出るのではなく、まず挑戦できる環境が用意されている。しかも、それが税金で支えられているという点も、ぜひ多くの人に知ってほしいなと思います。

選挙権を持たない若者が声を上げやすい社会になっていたことは大変印象的でしたね。その環境づくりがあってこそ、若者がいきいきと意見を発信して良い社会の作り手になっていけるのだと思います。
フィンランドで過ごした6日間はいかがでしたか?

日本から参加した方々とたくさんの対話する機会をいただき、本当に学びの多い1週間でした!!フィンランドは福祉国家というイメージに、”信頼国家”というイメージが追加され、新たな見方にアップデートされました!

UpEd教育視察ツアーに参加いただきましたが、印象に残った点や、これから参加される方にお伝えしたいことはありますか?

参加される方1人ひとりの意欲が高く、1人では得られなかった視点や考えに触れることができたからこそ今の学びがあったと感じています。モヤモヤを感じているけれど、中々言語化できない方も実際に現場や社会を見て、そして学びを共有することで新たに見えてくるものがあるはずです!

様々な背景を持った参加者たちとの対話の機会は、学びを深め広げる欠かせないものでしたね。
最後に、学びを踏まえて、これから日本に帰ってしたいことを教えてください

自分が学んだことや感じたことを何かしらの形で伝えていくこと。日本の教育にも良さがあることから、全てを否定するのではなく、こういうやり方もあるよ、こんなことが成り立っている例もあるよ!のスタンスでアップデートできるような発信にしたいです。

はい、日本の良さも本当に感じました。私たちが見てきたものも、一つのサンプルとして、日本の教育に携わる方々を勇気づけられたらいいですね。ありがとうございました!これからの活躍も応援しています。